たまに言われます。「S7Gって鳴らないよね?」って。
そんな時、無性に悲しくまります。
なぜなら、S7Gは「鳴っている」からです。
ではなぜ「鳴らない」と思う方がいらっしゃるのでしょうか。
その「鳴る」という言葉について深く掘り下げたいと思います。
もちろんこれはS7Gに限らず「ギター全般」に通用する概念ですので、
今後皆さんがギターを選ぶ際の参考にもなるはずです。
■ギターの鳴り方考察
①段ボールと鉄板
左は段ボールに細い木の棒を立てて、その間にピンと糸を張った物。
右は同様の構造で、分厚い鉄板に鉄の棒を立てた物です。
②糸に力を与えてみる
どちらの糸にも同じだけの力を与えてみましょう。
③まずは糸が振動する
すると、糸は振動します。当たり前ですね。
④振動が伝搬?
糸を揺らすと、左側は棒に振動が伝わり、段ボールもバタバタと揺れます。
一方、右側の鉄の棒や分厚い鉄板はあまり振動しないと思いません?
糸の振動くらいじゃびくともしなさそうです。
⑤糸に残った振動
ここで中学校の頃に習った(はずの)エネルギー保存の法則を思い出してみましょう。
「孤立系のエネルギーの総量は変化しない」という物理学における保存則の一つである。(by Wikipedia)
糸と棒、その他接点での振動ロス等々、難しい事は置いといて、要は段ボール側、鉄板側どちらの糸にも10のエネルギーを与えたとしたら、その10のエネルギーがどこで使われるのか、という事です。
段ボール側は、振動が棒と段ボールに伝搬していくので、全体的にエネルギーを消費します。仮に「4」残ったとします。鉄板側はエネルギーが糸以外に伝搬しづらいので、糸にほとんど残るとすれば「10」ですね。
⑥糸が鉄弦だったとして、マグネティックPUを載せると...
糸が鉄でできていた場合、エレキギターのピックアップを載せれば、磁界が生まれて電気信号が出力されます。※左右同じPUを載せます。
ここで、糸に残っているエネルギーを比べてみましょう。左は4、右は10です。
さて、どちらがより大きな電気信号を出力できるでしょうか?
どちらがサスティンをより生み出せるでしょうか!?
答えは明白ですね。鉄板側です。
エレキギターで音を出したければ弦を振動させる。逆に音を止める場合は弦に触れてミュートするわけですから、より出力を上げたい、長く音を鳴らしたいという場合は弦を振動させなければいけないわけです。なので、パワーを必要とするような音楽(メタル等々)の場合は、弦が振動する事で欲しいサウンドを得やすいと言えます。
■まとめ
ギターの鳴り方考察、今回はギターの根本的な構造から、弦の振動伝達までに触れてみました。いかがだったでしょうか。「ネックやボディが鳴る」という事は必ずしもサスティンを得たり、出力を上げる事に繋がらないという事がお分かりいただけたと思います。
次回はこの前提に基づいて、実際のギターでの話に移っていきたいと思います。お楽しみに。(不定期更新です(汗) ご了承下さい。)