現在はまだ入荷数が少ないS7G。そんな中でも楽器フェアや店頭で弾いて頂いた皆様からたくさんの質問が寄せられています。今回はそんな質問を、S7G代表のJim Lewisにぶつけてきました。
今後のギター選びでS7Gの名が頭に浮かんでいる方、ぜひともご覧くださいませ!
“Strictly 7 Guitars” Jim Lewisインタビュー
■S7GのDシェイプネックは特徴的ですね。どのような経緯でそのシェイプに辿り着いたのでしょう?
私はそもそもフィンドリー大学院で修士号を取得した理学療法士なので、子供騙しではない、本当に人間工学的であるネックシェイプを求めていました。
プレーヤーが上下左右、縦横無尽にネック上で指を動かすときに親指と他の指で生まれる圧力の違いを減らす手段として「フラットD」ネックを設計しました。 このシェイプは、ポジションによって厚さが変わったり、テーパーが変わったりすることがなく、12Fで約23mm厚のまま、ほぼ全てのネック上で差異がありません。これにより、手に発生していた緊張を格段に和らげる事ができます。
また手根管の問題、肘の痛み、指の痛みだけでなく、更に前腕疲労をも減らすことができます。
我々は、慢性的な腕の痛みを抱えたスタジオミュージシャンがS7Gを弾いた後、痛みが解消するか、軽減されてきた例を数多く見てきました。また1セッションで6時間以上演奏する、S7Gを愛用するプレーヤーからも、一度も痛みや疲労について不満を言われたことがありません。特徴的なネックシェイプのため初めて握った プレーヤーは「太い!」、「ブロックだ!」と感じますが、10-15分後にこの感覚はなくなり、どれくらいこのネックの演奏性が高いかが分かってもらえます。
このネック形状で演奏すると、手の掌骨周辺の大きな筋肉を使わせるので、プレーヤーは適切な演奏ポジションで演奏することができます。それにより小さな筋肉での屈筋を避けることができ、疲労/痛みを最小にするだけでなく、プレーヤーはより速く、長く、正確にプレーすることができます。
音響的にも、「フラットD」ネックの太さにより、通常のギターと比較して、より太い鳴りから生まれる太いトーンとロングサスティーンを提供します。また指板も厚いものを使用しているので更なる鳴りに貢献していると考えています。これがギターのトーンのすべてを増すと私は考えています。
■S7Gのネックスケールはかなり長いですね?6、7、8弦でスケールも変えています。
スケールの長さとフレット数に関しては、当初は全てのネックを付け替えできる物にすることが理由でした。私がS7Gを始めたときはボルトオンモデルだったので25.5インチで24フレットのネックは全モデルで使うことが出来ました。更に27.5インチにしたい場合は25.5インチ用のネックを27.5インチ用ボディに合わせることができ更にオクターブチューニングも合わせることが出来ました。その後スルーネックモデルを開発した際も基本的なスケールとフレット数は共通でした。
27.5インチはストリングテンションと低音域に優れ、26フレットにより高E弦でのF#をチョーキングする必要なく出すことができ、ヘビーメタルはEマイナーの曲が多いのでとても効果的です。また27.5インチはフロイドローズブリッジにも有益で25.5インチよりもより安定性があると感じています。
8弦ギターに関しては27.5インチ以下のものはストリングテンションと音の明瞭さという意味では正直使えないと考えています。そのためS7Gで提供する8弦のスケールでは27.5インチが最短となります。更にDやC#まで下げ、音の明瞭さも両立させたい人向けに30.2インチまで用意しています(8弦で.095-.100までの太さのゲージが必要になりますが、イントネーションも合います)。
■S7Gはなぜバー・タイプ・ストリングテンショナーを採用しているのでしょう?
これはルックスが主な理由です。
1,2個の小さなツリーをつけるのは好きではありません。クリーンで堅実なバータイプが好みです。
■S7Gはなぜダンカンピックアップがデフォルトなのでしょう?
ダンカンは私がS7Gを立ち上げた時に、最初に一緒に仕事をした会社です。
S7Gを立ち上げたばかりの無名の私にも関わらず良くしてくれて、熱心に私たちの意見を聞いてくれました。その頃ダンカンは7弦用ピックアップのプロトも作ってましたし。
私はダンカンDistortionとSentient & Nazgulを愛しており、メタルプレイヤーにとって最適なピックアップだと感じています。ダンカンでは他モデルのJBと’59も良いピックアップでメタル以外のロックにはとても合っていると思います。
■他にもS7Gに搭載している、また好きなピックアップはありますか?
ダンカン以外のブランドではベアナックルのPainkiller, Blackhawk, Juggernaut, Aftermathもメタルプレイヤーにとても合っているピックアップだと思います。トーンはとても主観的なものですが私は何がS7Gに合うか良く理解しています。
またディマジオのIonizerも良いピックアップで、クラシックなCrunchlab/Liquifireセットと共にデスコアからロックまで幅広く使えるピックアップだと思います。EMG808の音色も好きで、特にアクティブサウンドが好きなロングスケールの8弦を愛用するプレーヤーに適したピックアップだと感じています。
パッシブサウンドが好きな人には、Lundgren Mシリーズも素晴らしいピックアップだと思います。他LaceのDeathbarも良いピックアップで今後開発予定のヘッドレス、ファンフレットや2015NAMMショーで展示したCobra 8弦ファンフレットモデルのメインピックアップに採用しています。
■S7Gのヒールカットはとっても特徴的ですよね?
2つの利点があります。
全てのスルーネックモデルでは音響的な完全性を失うことなく、深いヒールカットによりハイフレットのアクセスが信じられないほど楽になります。
Vモデルでも同様でGemini SyndromeのMike Salernoシグネイチャーモデルでは本当に驚くほどの効果を発揮しています。
ボルトオンモデルでも同様にハイフレットのアクセスが楽になりますが、プラスしてノーマルのブロックヒールを使うことでサスティンと剛性感を最大化させると私は考えています。
■ボルトオンモデルとスルーネックモデルの演奏性とサウンドにはどんな違いが生まれますか?
大きな違いは無いというのが私の意見です。
サウンドというものは主観的で、サスティンはほぼ同じだと信じています。ただボルトオンはよりアタックが聞いたスナッピーなサウンドが特徴でボディ材とピックアップコンビネーションの特徴がより強く出てきます。
反対にスルーネックではハイフレットのアクセスが良くなるのと、ネック材によるトーンが強く出てきます。
S7Gはメイプル/ウォルナットのコンビネーションネックにより、安定したサウンドが出せます。今後はさらに中音域を出せるような材のコンビネーションを追求したいと考えています。
■S7Gの弦のゲージに関して教えてください。
弦テンションを中心に選択しています。私は各弦のテンションの違いが1/2ポンド以内に収まるように計算してゲージあわせをしています(ハイBだけはもちろん別ですが)。S7Gは弦ゲージ、ネックスケール、ネックシェイプの3点から手首、手と前腕の問題を最小にすることを追求しています。
■ネックの補強材はウォルナットを使っていますね? どんな理由がありますか?
ウォルナットを使用することによりメイプルの強すぎるブライトさを低減させます。ボルトオンにおいては、スルーネックとのルックスの違いを無くす意味も含まれています。また外観においてもS7Gらしさという特徴を生むと思います。
■日本のS7Gファンに一言どうぞ。
S7Gで働く従業員は、全員プレーヤーでもあり皆S7Gで自分のやりたいことを追求しています。現在はオーダーに対して生産が追いついていない状況ですが、今後は生産を安定させるのと同時に新たなアイディアを盛り込んだモデルも次々と開発して行きますのでお楽しみに!