愛知県長久手市の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)内にある“ジブリパーク”に2024年3月にオープンした「魔女の谷」。その開園から1年を祝したイベント《魔女の谷開園1年 マーチングバンド演奏》が2025年3月16日(日)に開催されました。オフィシャルパートナーである島村楽器がこのイベントの企画に協力し、地元・愛知県の東邦高校マーチングバンド部に出演をオファー。華やかなパフォーマンスで来場者を魅了したイベントの模様を、出演者のコメントを交えてお届けします!
スタジオジブリ作品の名曲を躍動感のあるパフォーマンスと共に披露
ジブリパークは、 “自然の叡智”をテーマに2005年に開催された万国博覧会《愛・地球博》の理念を継承し、公園の自然や地形を活かしつつ、スタジオジブリ作品の世界を表現した施設です。2022年11月の開園以降、ジブリパークは国内外における幅広い世代のジブリファンに大人気となっています。
そして、ジブリパーク5つ目のエリアとして2024年3月にオープンしたのが「魔女の谷」。『魔女の宅急便』『ハウルの動く城』『アーヤと魔女』といった魔女が登場する作品をイメージし、ヨーロッパ風の街並みが美しいエリアです。魔女の谷の開園から1年の節目を祝して、今年3月より約1ヶ月間に及ぶ《春のどんどこ祭り》がスタート。催しの幕開けとして2025年3月16日(日)にマーチングバンド演奏が行われました。

今回のイベントには、地元・愛知県名古屋市で活躍する東邦高校マーチングバンド部の部員約35名が出演。計3ステージにわたり、魔女の谷を色鮮やかなサウンドと華やかなパフォーマンスで彩りました。
マーチングバンドの名門校である東邦高校は、大会で優秀な成績を収めているだけでなく、県内の地域イベントにも多数出演し、地元民に愛されています。部長の三冨 彩名さんによると、部員の皆さんも地元に貢献する活動にやりがいを感じているそう。
「一つひとつの本番はやりがいがあります。地元のイベントに出演させていただくことで自分たちも学びをたくさん得られるので、とても大切にしている活動の場です」(三冨さん)
当日の朝は雨が降っていたものの、魔女の谷にはマーチングバンドの演奏を心待ちにする観客が数多く集まりました。その期待に応えるかのように、初回公演の直前に雨が上がったのです。谷の上空には晴れ間がのぞき、爽やかな風が吹いていました。
定刻になると、マーチングバンド部が奏でる「ルージュの伝言」が魔女の谷いっぱいに響き渡ります。雄大なサウンドを鳴らしながらマーチングバンド一行が「ハウルの城」前を闊歩すると、迫力のある演奏に観客は大興奮。足を止め、軽快なリズムに合わせて体を揺らし、パレードを見守っていました。続けて同じく『魔女の宅急便』でお馴染みの楽曲「やさしさに包まれたなら」を演奏すると、『魔女の宅急便』の主人公キキの実家を表現した「オキノ邸」付近を練り歩き、噴水前へ。キキと黒猫のジジが魔女修行中に暮らした「グーチョキパン屋」をバックに『魔女の宅急便』の楽曲を中心としたジブリメドレーを立奏し、温かく美しいサウンドや躍動感のあるパフォーマンスで魅了しました。「晴れた日に…」「海の見える街」では優しいハーモニーをうっとり聴き入ったり、「元気になれそう」では観客が自然と手拍子をしたりと、会場中の観客が満面の笑顔を浮かべてパフォーマンスを楽しんでいます。

施設営業中の園内で音楽イベントを行うのはジブリパーク初の試みで、なんと園内でのリハーサルなしで本番に挑んだとのこと。そんなことを少しも感じさせない堂々としたパフォーマンスには、日々の練習とこれまで数々のイベントに出演してきた経験が活かされていました。また、部内での情報共有も入念に行われたそうです。
「地域でのイベントでは、リハーサルがなく、学校で練習したものを現地で初めて披露することも多いです。今回もジブリパークを訪れたことがない部員がほとんどだったのですが、下見に行った者から“このような道がある”“こういった場所を歩く”など、部全体に共有があり、事前にしっかりと情報が確認できたかなと思います」(三冨さん)

ドラマチックな演奏に観客も涙。愛に溢れたパレード
マーチングバンド部は『ハウルの動く城』に登場する「ハッター帽子店」の前まで行進すると、「世界の約束」「人生のメリーゴーランド」などの『ハウルの動く城』コレクションを立奏。フルートやサックスなどの掛け合いによる繊細かつ情感溢れるメロディが観客の心をつかみます。
そして、再び「ルージュの伝言」「やさしさに包まれたなら」を演奏しながら、「ハウルの城」に向けてパレード。行進中は観客が部員に向けて手を振りハイタッチをして、部員の皆さんも笑顔でこれに応えます。小さなお子さんたちが大はしゃぎで手を振る姿も印象的でした。

道幅が狭くスペースが限られた施設内でのパフォーマンスは一見大変そうに思えますが、むしろ三冨さんはその状況を「楽しい」と感じていたそうです。
「お客様との距離が近かったので、手を振ったりアイコンタクトをしたりなども意識できましたし、たくさんコミュニケーションが取れて、とても楽しかったです!」(三冨さん)
観客とのふれあいも、マーチングバンドの醍醐味のひとつ。顧問の白谷 峰人先生も、観客とのコミュニケーションを積極的に行うよう促しています。
「パレードで沿道のお客さんとの距離が近い場合は、積極的にコミュニケーションを取るように言っています。仮に隊列から外れたとしても、お客さんとハイタッチしたりするのはまったく問題ないですね。そのほうがお客さんも喜びますし、列を揃えて歩くだけがパレードではないと思っています」(白谷先生)
「ハウルの城」の前に到着した一行は、最後に『天空の城ラピュタ』より、世代を超えて愛される名曲「君をのせて」を立奏。抑揚をつけたドラマチックな演奏に感動し、涙を流す観客も。演奏を終えるとマーチングバンド部は来場者に向けて笑顔で手を振り、計30分の演奏を締めくくります。素晴らしいパフォーマンスを披露した部員に向けて、観客から大きな拍手が送られました。

パレードを終えた三冨さんは、当日のパフォーマンスについて以下のように振り返ります。
「開園1年という記念すべき日にご招待いただけたことに感謝しております。ジブリの物語をモチーフにしたジブリパークという場所で演奏させていただいたことで、ジブリファンの方とコミュニケーションを取れましたし、自分たちが物語の中に入って演奏している気分にもなれたので、とても嬉しかったです。楽器を演奏して一番やりがいを感じるのは、やはり見てくださるお客様が拍手や歓声をくださったときです。それが楽器をやっていて良かったなと思える瞬間ですし、今日もその楽しさを感じられました」(三冨さん)
ジブリ作品へのリスペクトや、音楽とマーチングバンド演奏への愛情を感じさせるパレードで、来場者を魅了した部員の皆さん。東邦高校マーチングバンド部には「忠誠心で勇敢に 己の犠牲を厭わず 信義を守り廉恥知る 礼をわきまえ品位高め かざらず愛を感じ愛育む 愛という名のもとに…」という心得があります。
「指導の際に大切にしていることも、とにかく愛です。それは“すべてを受け入れること”。自分自身が“嫌だな”“面倒だな”と思うことも受け入れて、いろんなことに当たってみる。それを大事にするよう部員に伝えています。高校生という多感な時期なので、仲間に対しても“なんか気に食わない”とか、そう思ってしまうこともあるんです。でも、相手の嫌なところも受け入れて、いいところを見つけるようにする――もちろん、自分のいいところと嫌なところも。“それが組み合わさって絆が強くなるんだよ”と口酸っぱく言っていますね」(白谷先生)
「やはり、愛というものがなければ音楽は成り立ちませんし、愛がなければお客様に伝わるものも伝わらないと思います。マーチングバンド部の仲間に対しても、家族のように愛情を持って共に生活することで、団結力を高められます。そういったことを日々大切にして過ごしています」(三冨さん)
全3ステージとも成功を収めた《魔女の谷開園1年 マーチングバンド演奏》。東邦高校のパフォーマンスには、ジブリ作品へのリスペクトや、音楽とマーチングバンド演奏への愛情が溢れていました。その演奏は、今後もジブリパークで地元愛やジブリ愛が育まれていくことを予感させ、来場者の心に温かな余韻を残しました。

今回の《魔女の谷開園1年 マーチングバンド演奏》は、ジブリパークのオフィシャルパートナーである島村楽器の協力のもと開催。ジブリパーク限定グッズである、愛知県産の木材を使用したどんぐり型の「バードコール」や「カリンバ」などの制作に監修している島村楽器は、これからも、ジブリパークとともに、多くのお客様に楽器演奏や音楽の楽しさをご提供してまいります。将来にわたって愛されながら成長し続ける公園となることを願って。
© Studio Ghibli