家族全員が“楽器プレイヤー”になったきっかけは、ある店員との出会いからだった~私と楽器屋さんVol.8~

家族全員が楽器を演奏し、音楽を通じて深い絆で結ばれている坂田さん一家。そんな充実した音楽ライフの始まりは、島村楽器のあるスタッフさんとの出会いが関係していました。“一期一会”という言葉を強く感じた、その運命的な出会いに迫ります。

左からスタッフの森田さん、坂田家の貴志くん、尚子さん、聖治くん、将彦さん

出会ったときのことは、今でも昨日のことのように鮮明に覚えています

結婚を機に江戸川区から本八幡へと引っ越してきた坂田さん一家。ご主人の将彦さんは社会人になる前から音楽やギターを嗜んでおり、就職したあとも楽しい楽器ライフを送る中で、島村楽器の市川コルトンプラザ店に通うようになる。

坂田 将彦さん 本八幡に引っ越してきてから、楽器をちらほらと島村楽器さんで買わせていただくようになりました。その流れでうちの奥さんも楽器を始めたいということで、ウクレレを買いに島村楽器さんを訪れたのですが、ウクレレを見ていたときに後ろから声を掛けていただいたのがスタッフの森田さん。それが2015年のことで、楽器について楽しくお話しさせていただきました。その時のことは、今でも昨日のことのように鮮明に覚えています。

坂田 尚子さん 子どもたちも大きくなって“何か始めたいな”と思った時、ギターだと弦を押さえられないけど、ウクレレなら弾けるんじゃないかなと思って。音もカワイイし、楽器を“抱っこ”している感じも子育ての延長線上みたいだと思ってなんだか親近感があり、ウクレレを始めようと思いました。

当時、スタッフの森田さんは新入社員として働き始めたばかりでウクレレを担当。接客に燃える森田さんが、“私がウクレレ担当です!”と背後からぬっと現れたのには坂田さんも驚いたそうだが(笑)、それから坂田さん一家の音楽ライフを全面的にサポートするように。

折よく市川コルトンプラザ店でウクレレサークルが始まり、家族全員で参加。2人のお子さんも音楽に興味を持つようになり、長男の聖治くん(中学校2年生)は島村楽器のエレキギター教室、次男の貴志くん(小学校6年生)はピアノ教室に入会。現在も毎週日曜日、欠かさずにレッスンに通っている。

坂田 将彦さん 先生との相性も良く、曲の難易度も的確に上げていただいて非常に満足しております。家では教室で教えてもらった曲も弾きますが、自分でアレンジした曲を弾いて楽しんだり、兄弟でギターとピアノでセッションをしていたり、皆で満足した音楽ライフを過ごしています。

アート関係のお仕事に就いているという将彦さん。聴く音楽はクラシックロックやガレージなどの洋楽が中心で、その影響もあって聖治くんはジャンゴ・ラインハルトやジェームス・テイラーやシック、貴志くんはレイ・チャールズやブルース・ブラザーズといった音楽を好んで聴いており、まさに早熟。プレイヤーとしての成長が楽しみだ。

坂田 将彦さん 年に一度の発表会では、長男はジョン・レノン「スタンド・バイ・ミー」、スティング「見つめていたい」、ポール・ウェラー「マイ・エヴァー・チェンジング・ムード」などを選曲しました。次男も最近はクラシックを弾きたいという要望が芽生え、バッハやベートーヴェンなどクラシックの曲を選曲していただきました。次男は同時にクラシックロックも好きなので、家ではクラシックに加えてジェイソン・ムラーズの曲を10〜15分くらい休みなく弾くこともあります。それをまたお洒落にアレンジするので、“なぜそんなアレンジを!?”と驚かされることもあります。

いつもそばにいてくれる存在、そういう感覚にかなり近い

現在、自宅にはギター、ベース、アップライトピアノ、ウクレレ、バイオリンまで、合計すると10を超える楽器に囲まれる生活を送っている坂田さん一家。楽器のことで相談があれば島村楽器を訪れ、森田さんと音楽の話や何気ない会話に花を咲かせるのがひとつのライフワークだと言います。

坂田 将彦さん 当時からずっと森田さんは“森田さんのまま”なので、お店に遊びに行って楽器の話をしたり相談したり、忌憚(きたん)なくお話しすることができます。森田さんはかしこまって話すタイプではなく、素直な接客をされる方なので、僕も家族もすごく楽しく安心してお話ができる。非常に良いお付き合いをさせていただいております。いつもそばにいてくれる存在、そういう感覚にかなり近いと思いますね。

坂田さん一家と出会ってからの7年間の間、市川コルトンプラザ店から川崎ルフロン店へ、さらに有明ガーデン店へと異動になった森田さんだが、楽器の購入で悩んでいたり探している楽器があるときは、今でも森田さんを頼ってお店まで足を運んでいる。川崎ルフロン店に異動した際は、こんな心温まるエピソードも。

坂田 尚子さん 今までずっと森田さんと接してきたので、急にいなくなっちゃうのがすごく淋しくて。実際に、習い事に通っているのか森田さんと話しに行っているのかが、わからなくなったときがあったくらいなんです。ちょうど私が川崎ルフロン店でエレキギターを購入したので、“せっかくだから”ということでボディの裏に森田さんのサインを書いていただきました(笑)。その時も久しぶりに森田さんに会ったので、二人してお店で泣いてしまって。なので今日も追加していただく形で新しいサインを書いてもらおうと思います(笑)。

ニコニコと穏やかな雰囲気を併せ持ちながら、意外にもメタラーな森田さん。メタリカのロゴをもじったサインは、人柄が現れていてなかなかユニーク(笑)。お店で声を掛けたのをきっかけに、貴志くんの発表会をお忍びで見に行って感慨深く涙したり、少し人見知りの兄弟二人からもらった手紙を大事に壁に貼ったり、坂田さん一家を見守ると同時に、森田さん自身も仕事のモチベーションにつながっているようだ。

森田さんが尚子さんに贈ったサイン

坂田 将彦さん 島村楽器に来て良かったと思うのは、やっぱり良い店員さんに巡り会えたことですよね。あのときに声を掛けられていなかったら今の音楽ライフはないですし、一期一会と言いますか、そういう瞬間って本当にあるんだなと実感しました。日曜日とか通える範囲内でお教室も紹介していただき、日曜日に先生のご都合も合わせていただいたり、そこまで尽力してくれたからこそ今でも教室に通うことができています。特に下の子は少し気難しい性格なので、ご紹介いただいた先生でなければこんなに長くは続かなかったと思います。

坂田さんにとって、島村楽器の魅力はどんなところだろうか。

坂田 将彦さん まずは、非常にフレンドリーでお店に入りやすい環境が整っていることですよね。“他の楽器屋さん”と言っては大変失礼ですけれど、楽器のことを知らない人からすると入り口が狭いと余計に入りづらいのですが、島村楽器さんは店舗の作りも含めて全体的にオープンに作られています。歩き回っても狭くないと言いますか。見やすい、通りやすい、試奏しやすい。多くの楽器を陳列していたり、高級な楽器が置かれたお店もありますが、島村楽器さんは一人でも多くの人に楽器に触れ合ってもらおうという気持ちが見て取れる。そういった意味では、楽器を始めたばかりの人や幅広い人に対応しているからこそ、これほど全国的に展開することができたのだと思います。そういう部分が、広く支持されている理由なんでしょうね。

音楽の輪が家族に広がり、想像もしていなかった感動体験に満ちた日々。音楽と楽器で生まれた絆は、これからも坂田さん一家を照らし続けるに違いない。

坂田 尚子さん 私の理想は楽しむことです。仕事などが忙しく、なかなか家族がつながれる瞬間がなかったので、音楽を通じてみんながひとつになって楽しむ時間がもっと増えればいいなと思っています。

坂田 将彦さん 僕は音楽を含めアート全般が好きなので、“これだ!”という発見が常にあれば嬉しいですね。音楽や芸術を通じての発見や探求を求めていますし、それは島村楽器さんにあると信じています。

この記事を書いた人

溝口 元海

エディター、ライター、フォトグラファー。