日本人にとって馴染み深く、この季節になるといつも私たちに春の訪れを感じさせ、見る者を幸せな気持ちにさせてくれる桜。
そんな桜の木材を使ったギターがあることを皆さんはご存知ですか?
桜が咲く時期とともに楽器界で盛り上がりを見せてきた桜ギター。
そんな桜ギターとは一体どんなギターなのか?
今回は桜ギターを制作している株式会社ディバイザーのご担当者様にお話を聞いてみました!
お話を聞いたのはこのお二人
桜ギター誕生のきっかけは“桜の木との偶然の出会いと遊び心”にあった
――まずは桜ギターを制作することになったきっかけを教えてください。
曽我部さん:桜をモチーフにしたモデルを制作することになった始まりは2014年です。Headwayのギターを製造している飛鳥工場で、偶然桜の木材を仕入れることになったことがきっかけで、桜のデザインを取り入れた“遊び心のある楽器”を作ることになりました。
ちなみに今は桜ギターと呼ばれる桜の木材を使用したアコースティックギターが主力商品となっていますが、当初制作した桜モデルの第一弾はウクレレだったんです。東京ハンドクラフトギターフェスというイベントに出展するために制作しました。そのイベントで桜モデルが好評だったため、アコースティックギターやエレキギター・ベースなど制作の幅が広がっていきました。
桜ギターを通して日本の四季を表現している
――桜ギターのコンセプトはどんなものなのでしょうか。
原さん:実は桜ギターはモデルごとにコンセプトを変えているんです。元々は桜らしく春のモデルのみ生産していたのですが、桜モデルの人気が高まるにつれバリエーションが増えて春先だけでなく他の季節にも販売するようになりました。
――そうなんですね。桜といえばやはり春をイメージするので、通年で季節ごとに販売しているとは思っていませんでした。
曽我部さん:季節ごとにどんな桜モデルにするか想像を膨らませ、例えば風鈴や風とともに桜が舞う様子を描いた夏桜モデル、愛知県豊田市にある紅葉と桜を一緒に見ることができる小原四季桜をモチーフにしたモデル、冬桜や和傘の女性をコンセプトにしていたり、京桜、夜桜、千本桜、桜吹雪…など、毎回細かくデザインを変えています。桜ギターを通して日本の四季を表現しているんです。
――モデルごとにコンセプトを変えているということは、毎年違うデザインのギターを生産されているんですか?
曽我部さん:はい。デザインは毎回変えています。基本的に再生産はしていないので、限定生産で30本くらいか、あるいは1本のみの場合もあります。
――それだけ細かく幅広い種類があることで、自分にピッタリ合うモデルが探せるのはいいですね。
原さん:桜の木材はとても種類が多く、そして他の木材と違い時期によって手に入る木材の種類も変わります。なので入ってきた木材の種類や量によって生産本数が変わってくる部分もありますね。なにより一番大切にしていることは桜の木材を使用するということです。デサイン面だけではなく、木材そのものの美しさであったり、サウンド形成の面でもこだわっています。
――Headwayの桜ギターってどんな音がするのでしょう。
曽我部さん:桜の木らしい温かみのあるサウンドです。様々な種類の桜の木を使用しているので木材ごとに多少音色は異なりますが、桜の木全体の共通点としては、中音域から高音域に関して特徴のあるしっとりとした音色を楽しんでいただけます。音抜けも良く繊細な表現もできるので、幅広い用途でご使用いただけると思います。
桜ギターを通して日本の誇りを世界に伝えていきたい
――最後に桜ギターを通して伝えたいことを教えてください。
曽我部さん:ギターは元々海外から入ってきた文化ですが、桜ギターを通して、日本人に馴染み深い桜の木の魅力を知っていただくのはもちろん、デザインから日本の四季の美しさを知っていただいたり、日本で育った木、そして日本の工場でできたギターなんだというところを世界中の人に伝えていきたいですね。
原さん:現在世界的にも環境資源が減少しています。ギターの木材も例外ではなく、今まで手に入っていたものが入手しづらくなっている現状があります。私たちは日本のメーカーとして、日本で調達できる木材で楽器が作れるということをポジティブに捉え、新しい流れを作っていきたいと思っています。そして桜の木の良さを文化的な面でも伝えていきたいです。
――ありがとうございました!
今回取材させていただいたHeadwayの桜ギターはなんと今年で45周年なんだそう!
それを記念して特別価格にて4月下旬に桜ブックを発売されるとのことなので、気になった方はぜひチェックしてみてくださいね♪