夏休み音楽会・展覧会レポート2021 ~この夏まだ間に合うイベントもご紹介!~

Happy Jam編集部のウサミです!

皆さん、夏休みと言えば何をイメージされますか?
スイカ割りや流しそうめん、海水浴に花火大会など、夏は楽しいイベントがたくさんありますよね!

だがしかし!!実は音楽や芸術も夏だからこそお子さんから大人まで幅広く楽しめるイベントが目白押しなんです!

クラシックやアートはハードルが高いと思っているそこのあなたこそ体験すべき!な音楽会・展覧会3選を
レポートしてきました♪

『芸術の秋』ならぬ『芸術の夏』、『善は急げ』ではなく『音楽は急げ』!!
ということで早速行ってまいりました。どうぞご覧ください!

第47回夏休みコンサート2021(日本フィルハーモニー交響楽団)

まず最初に訪れたのは、日本フィルハーモニー交響楽団による夏休みコンサートです!
なんとこちらの演奏会、今年で第47回!という長い歴史と人気を誇る演奏会なんです♪

「初めてクラシック音楽を聴く子どもたちに、家族と一緒に本物のオーケストラをお聴きいただきたい」という願いから1975年にスタートした演奏会だそうで、親子3世代で毎年この演奏会に足を運ぶ方もいるんだとか。

子どもの頃に味わった夏休みコンサートの感動が、世代を超え演奏会にリピートしてお越しいただける理由なのかもしれませんね♪

最初の1曲目。曲が始まった瞬間オーケストラならではの厚みのある音が会場中を包み込みました。これは初めて耳にするお子様たちもきっとびっくりしたでしょう!
迫力満点のサウンドに、奏者の皆さんの熱い想いが伝わってきます。

第一部は世界のダンス(舞曲)をテーマにノリノリな曲から異国情緒あふれる曲まで、まるで世界を旅しているような気分になりました。そして締めくくりにチャイコフスキーの交響曲を壮大に演奏し、鳴り止まない拍手が響き渡りました。

さらに第二部はなんと、音楽とともに優雅で華やかなバレエダンサーたちが出てきました!バレエを今まであまり見る機会がなかった編集部ウサミは、思わず釘付けになりながら鑑賞しました(笑)

演目は「くるみ割り人形」です。

今回披露していたバレエは、日本フィル特別バージョンということで、お話の内容やダンス・音楽が分かりやすくまとまっていたので内容も理解しやすく、くるみ割り人形ってこういう物語だったんだなぁ、と改めて知ることができてとても楽しかったです。

バレエ:スターダンサーズ・バレエ団

バレエダンサーさんたちもみんな美しく、華やかでしなやかな素晴らしい踊りを見せていただきました!
息をすることも忘れるくらいの集中力で見とれていると、あっという間にバレエは終了しました(笑)

そして会場が一体となってオーケストラの演奏と一緒に歌う第3部(今年のテーマは「みんなでたのしく体を動かそう!」)では、大人気『鬼滅の刃』の曲もオーケストラバージョンで聴くことができ、大ファンの編集部ウサミはとっても感激でした!!

その後も楽しく曲に合わせておどったり手拍子をしたりと、大盛り上がりのまま演奏会は終了しました。

最後は客席のお子さんたちが、演奏してくれた皆さんに向かって一生懸命に手を振って、それに対して出演者の皆さんも全力で手を振り返していて、とてもほっこりな素敵な空間でした♪

第47回夏休みコンサート2021の詳細

※残り公演8/29(日)14:00 ロームシアター京都はすでに完売しています

演奏会ご担当者様より
1975年にスタートした日本フィル夏休みコンサートは、今年で47年目という長い歴史があります。当時、子どもの非行などが社会問題となっており、日本フィルでは「未来ある子どもたちのために音楽家は何ができるか」について学校の先生方と熱心な意見交換の場を持ちました。そういった機会を経て、“家族そろって身近なホールで、本格的なオーケストラを聴くことで子どもたちの心の成長に良い影響を及ぼすことを期待する”という理念のもと、このコンサートが始まったのです。当コンサートは4歳からお越しいただける内容にしており、3部構成となっております。親しみやすい司会や演出を加えつつ、本格的なオーケストラ演奏を楽しむ第1部。バレエやオペラなど、美しい舞台芸術を間近で親しむ第2部。そして会場が一体となってオーケストラの演奏と一緒に歌う第3部。メリハリの効いた構成のため、子どもたちも飽きることなく大人の方と一緒に変化に富んだ内容をお楽しみいただいています。家族みんなでリビングで同じTV番組を観たり、車の中で同じ音楽を聴いたりなど、そういった経験が少なくなった現代で、“家族そろって楽しむ”日本フィル夏休みコンサートは、多くのご家庭の夏休みの楽しい思い出となり、今では2世代3世代のご家族が来場されるかけがえのないコンサートとして実を結び、次世代へとその希望をつないでいるのです。音楽って素敵だな、と心から思える夏休みコンサート。ぜひ体験しにいらしてください。

日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会情報はこちら

夏休み子ども音楽会2021(東京文化会館)

次にご紹介するのは、夏休み子ども音楽会2021です!

「より多くの方に音楽を楽しんでいただきたい」という想いから2005年より始まった音楽会です。

今年の音楽会のコンセプトは『親子で楽しめるお話付きの室内楽コンサート』。
弦楽器とピアノが織りなすバレエ音楽&ピアノ五重奏が楽しめるということです!これは楽しみですね~!

東京文化会館入り口

会場内に入ると、そこにはお子様から大人まで幅広い世代のお客さんで開演を楽しみに待っている様子です。クラシックを生で聴くのは今回が初めてという方もいるかもしれませんね!

左から第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロからなる弦楽四重奏

まずはじめに演奏された弦楽四重奏では、誰もが耳にしたことのある有名なクラシック曲を演奏してくれました♪
聴いたことある~!とテンションも上がり、会場も盛り上がります。

そしてこの音楽会ならではの見どころは、演奏の間に演奏家の皆さんが曲の解説や面白いトークをしてくれるところなんです!

「肩の力を抜いて聴いてくださいね」とにこやかにお話してくれたことで会場のお客さんもほっと一安心です。これらの分かりやすい曲の解説にも、これなら初めての人も分かりやすい!と感動しました。

途中ではユーモア溢れる曲も出てきて会場が笑いに包まれた瞬間もあり、かなり和やかムードでリラックスして楽しむことができました。

ー各楽器の説明より抜粋

弦楽器四重奏のそれぞれの役割をショートケーキに例えると、高音域のメロディーを担当することの多い第一ヴァイオリンはショートケーキの上にある甘酸っぱいイチゴ、伴奏をしたりハーモニーを担当して中音域の音を埋める第二ヴァイオリンと、さらにヴァイオリンより一回り大きくて音の厚みも出るヴィオラは生クリーム、低音パートを担当するチェロはスポンジ、いわゆる土台の部分ですね!

こうしてみんなが合わさることで美味しくて甘酸っぱくてバランスの取れたショートケーキのような演奏ができるんです!

この説明にはお子さんたちもニッコニコの笑顔でした♪

編集部ウサミもショートケーキを想像してなるほど!ととても納得。
そしてケーキを食べたいなあと会場中のお客さんが思ったことでしょう。(もちろん私もです笑)

そして山田剛史さんのピアノソロによる圧巻の演奏に目と耳と心を奪われ、最後は皆さんが大集合して素晴らしい合奏を観客に届けてくれました。

そして今回は特別に、素晴らしいピアノソロを演奏してくださった山田剛史さんより子ども音楽会についてコメントもいただいております♪

ピアニスト 山田剛史さんより

©平賀正明

子どもの集中力を惹きつけながら親しみやすい有名曲から本格的なクラシック作品まで、クラシックをあまり聴くことがない方にとっても、音やアンサンブルを自然に楽んでいただけるよくできた構成だったと思います。
通常の演奏会と全く変わることのない、第一級の音楽作品を子どもたちに聴かせられたことを誇りに思います。こうした曲は、大人も子どもも、そして演奏する私自身にとっても常に100%楽しくワクワクするような名曲です。
そして今は通常の演奏会でも、演奏の間に演奏者がお話をすることがかなり一般的になりました。
今回の演奏会では子どもたちに対して、ピアノという楽器のこと、そしてアンサンブルをするということについて、普段思っていることを自分なりの視点で率直に伝えてみました。
音楽というものは、何かショーやサーカスのようなものではなく、日々の地道な営みと感覚の先にあるということ。
演奏者の「背中」から何か面白いものを感じてもらえるような、音の手触りや奥行きにじかに触れて共感してもらえるような、そんな体験になればと願っています。


そしてこの音楽会では、「上野1dayパス」が付いてくるのです!
こちらのパスは音楽会のチケットを購入するともらえるもので、動物園や博物館など上野周辺の施設を無料・あるいは割引き価格で楽しめてしまうという、とーってもお得なパスなんです!

こちらが1dayパスです!

音楽会を楽しんだあとも上野の自然や芸術を楽しめるなんて、至れり尽くせり、最高ですよね!

ご家族と、ご友人と、クラシック初心者の方も心から楽しめて、一日上野を遊び尽くせる音楽会、来年は皆さんも夏の思い出に行ってみてはいかがですか?

夏休み子ども音楽会の詳細

※夏休み子ども音楽会2021はすでに終了しています

演奏会ご担当者様より
「夏休み子ども音楽会」は2005年より始まりました。もともと夏にワークショップなどのお子様向けのイベントはやっていましたが、より多くの方に音楽を楽しんでいただきたいという想いから大ホールでのコンサートを開始。今年は趣向を変えて小ホールでの開催となりました。
音楽会の曲目そのものは東京都交響楽団が演奏しており、本格的な演奏をお楽しみいただけます。その中で曲ごとに解説を織り交ぜながらトークをすることで、どんなお客様にもお楽しみいただける内容になっております。
音楽会を通して上野の施設を一日巡ることができる「上野1dayパス」も、こちらの音楽会イベントの目玉のひとつとなっています。
毎年音楽会のテーマを変えて皆様に心よりお楽しみいただける内容になるよう工夫をしておりますので、ぜひご興味がある方は来年の音楽会にご来場いただけましたら幸いです。

東京文化会館の演奏会情報はこちら

藝大コレクション展2021 Ⅰ期 雅楽特集を中心に

最後にやってきたのは東京藝術大学大学美術館です!

こちらはその名の通り東京藝術大学に併設している美術館となっていて、藝大に在学していた芸術家たちが、当時制作した作品など、約3万件を収蔵している美術館なんです。

今回訪れた藝大コレクションでは毎年特集のテーマを変えて行っているとのことで、今年のテーマは『雅楽』!音楽をテーマに展示をしたのは初の試みなんだとか。
雅楽ってなに?と聞かれても今のところ答えられる自信のない私ですが(笑)、こちらの展示は雅楽を美術の観点から楽しめるということなので、さっそく潜入してみました!


「雅楽」って音楽の授業でチラッと勉強したような…?という薄い記憶しかないレベルのウサミが雅楽にまつわる美術品を理解し、楽しむことができるのだろうか…。

そんな不安を抱きながらも展示会へ足を踏み入れてみると、さっそく楽器を発見!
繊細な模様まで細かく描かれた模様や装飾がとてもきれいです!

他にもこんな風に楽器が鬼に化けているユーモア溢れる作品があったり!

百鬼夜行絵巻(部分)江戸時代 東京藝術大学蔵

雅楽ってなんだか面白そう…!ワクワクしてきました♪

土佐光信 伝原作 《舞楽屛風》 模本作品(部分) 作者・制作年不詳 東京藝術大学蔵

そして館内を周っているとすごい絵を見つけました!たくさんの人たちが様々な衣装を着て踊っています!

こちらは「舞楽屏風」と呼ばれる作品の模写なんだそう。23種類の舞楽の舞人が描かれており、屏風作品の下図(※)なのではないかという見方もあるようです。

※下図…完成図を制作するための下書き(構想)

知識の乏しい編集部ウサミは、「まず雅楽ってこんなに舞の種類や演目があったの!?」とかなり驚きました(笑)
そんな中、ご説明を聞いていて特に私が面白いと思った演目がこちら!

舞楽「陵王」

小堀鞆音《蘭陵王》明治時代 東京藝術大学蔵

舞楽の演目のひとつである「陵王」。こちらは中国の昔から伝わるお話が雅楽になったものなんだそう。

ざっくりとした物語の内容
その昔、蘭陵王・長恭という名のとても強く、そしてとてつもない美男子がいたそうな。彼の容姿は見る者全てを魅了してしまうあまり、兵士の闘志までなくしてしまうほど。そこで蘭陵王は獰猛で勇ましい仮面を付け、兵士たちの士気を高めて勝利を導いたのであった…。

いや、どんだけイケメンだったんですか!お顔が見たい!ものすごく!(笑)
マンガのような夢のあるストーリーに、このときすでに編集部ウサミは雅楽に入り込んでおりました。

そしてこちらがその陵王を舞うときに実際に身にまとう装束です。凛々しいデザインが、陵王にピッタリですね!
物語に出てくる獰猛な仮面も確かに迫力満点です(笑)

特別展示物『御飾時計』

最後にご紹介するのは、急遽展示が決まったという『御飾時計』!
なんと100年以上前に制作された時計で、カラクリの修復・復元を施し動くようになったそう。

東京美術学校監造、東京府立工藝学校経始、尚工舎時計製造所完成 《御飾時計》大正10年完成 秋篠宮家所蔵

こちらの華やかな作品ですが、よ~く見てみると…いらっしゃいました!きらびやかな鼉太鼓だだいこを発見です!
時間が来るとお人形さんたちがポコポコと鼉太鼓を叩く様子が見られるかもしれません♪

竹内久一《伎芸天》明治26年 東京藝術大学蔵

入り口で圧倒的な存在感を放っていたこちら伎芸天ぎげいてん(諸芸の神様)の天女の彫刻も素晴らしかったです!


今回さまざまな展示を見てまわり、私は思いました…
今まで雅楽は敷居が高く、理解するには到底及ばない音楽だと。

でも違いました。全てを理解していなくたって鮮やかな衣装や装飾を見て綺麗だなと感じたり、物語や音楽に心が動かされるだけで立派に雅楽を楽しめているんだと!

ご説明によると、神社でお祝いの場に奉納される音楽も雅楽なんですって。
普段意識していないだけで雅楽は昔から人々のそばにあり、それを身近に感じることで雅楽って楽しいって思えてきませんか?

藝大コレクション展2021 Ⅰ期 雅楽特集を中心に の詳細

※8/22(日)まで開催中です

藝大美術館館長より
藝大コレクション展では、毎年特集のテーマを変えて行っており、研究成果の発表としても展示を行っています。
今回雅楽・音楽をテーマに展示をしたのは初の試みで、4~5月に予定していた御即位記念特別展『雅楽の美』 展覧会が中止になってしまったこともあり、同展覧会からいくつか取り上げた作品に雅楽に関連するほかの作品を加えて新たに展示することとなりました。雅楽は日本で一番古い音楽であり、古い時代から年々と、長い歴史の中で日本の歴史に定着している代表的な文化です。重要な儀式のときに演奏されているものを守り伝え、磨き上げられた音楽は、人々を魅了するものがあります。
この展示会では実際に雅楽の映像もご覧いただくことができますので、ぜひ五感を使って楽しんでいただけたらと思います。

東京藝術大学大学美術館の展覧会情報はこちら

まとめ

いかがでしたか?

私が今回レポートをして感じたのは、それぞれのイベントはどれも作り手の熱い想いがあり、それを生演奏であったり直接展示を見ることで体感できるという素晴らしさです。
実際に自分の目で見て、耳で聴いて感じた気持ちは、とても大切な思い出として心に残るものです。

お子様から大人まで、誰もが気軽に心から楽しむことができる音楽と芸術。

この夏まだ間に合うイベントもありますので、思い出づくりやこれからの趣味として気軽にお出かけしてみてはいかがでしょうか♪

この記事を書いた人

Happy Jam編集部 ウサミ

楽器店スタッフを経てHappy Jam編集部に上陸。「音楽って楽しい!」をモットーに最高の時間をお届けすべく真心を込めて記事を制作している。メインはピアノ、他にもあらゆる楽器を集めては弾いている楽器大好き人間。将来の目標は楽器部屋を作ること!