私と楽器屋さん Vol.01

ずっと続けられる趣味を持ちたい!と、島田亜紀子さんが島村楽器を訪れたのは約2年前のこと(取材当時)。そこで出会った前田 綾さん(シマムラストリングス秋葉原)とは、お客様とスタッフを超えた、お互いに励まし合い信頼し合える関係。ヴァイオリン、そして島村楽器との出会いは、島田さんをこれまで経験してこなかったような成功体験へと導きました。そんな温かなエピソードです。

島田亜紀子さん(左)と前田 綾さん(右)
島田亜紀子さん(左)と前田 綾さん(右)

本当にキレイな音色で
素晴らしい演奏だったんです

島田さん ピアノは子供の頃にやっていたんですけど、ヴァイオリンは楽器としてすごく大好きで、コンサートを観に行ったりCDを聴いたり、心に響く音なのでずっと憧れていたんです。それで、おばあさんになっても続けられる趣味を40歳過ぎてから始めようと思い、2年前、浦安のショッピングセンター(ショッパーズプラザ。現イオン新浦安)に行ったときに島村楽器を覗いてみたんです。そこでヴァイオリンを触らせていただいて、こちらのお店(シマムラストリングス秋葉原)を紹介してもらいました。お電話をしたら“何日の何時に来てください”と担当の方の案内がとてもスムーズだったので、高い楽器を買わされるのかな?と最初はとても心配で(笑)。

 後日、夫と一緒に伺って対応してくれたのが前田さんでした。それで、目の前でエルガーの「愛の挨拶」を弾いてくださったんです。コンサートなど遠くからヴァイオリンの音色を聴くことはあっても、対面で聴いたことはなくて。そしたら想像以上に音量が大きくて、本当にキレイな音色で、素晴らしい演奏だったんです。感動してしまった私は、その場でダーっと涙が溢れて。その演奏の印象がすごく強くて、その後に他店も回りましたが、結局はそのヴァイオリンを買うことに決めたんです。

長いお付き合いができそうだなと思い
前田さんから買いたいなと思いました

島田さん 購入後は、毎日1時間くらい練習しています。私はありとあらゆる音楽が大好きなのですが、ヴァイオリンを始めたことで、演奏者のスタイルとか感情とか、曲の解釈とか、さまざまな発見がありました。同時に、自分の下手さが嫌になったりもしますが(笑)。

前田さん 島田さんは自分でモチベーションを上げられる方なんです。何に対しても集中できる。このインタビューのために、営業の本を何冊も読んでくださるような方なんです。

島田さん 前田さんはすごく愛嬌があるんですね。他店を回ったときも、こんなに感じのいい方はいらっしゃらなくて。いつも正直に誠実な態度で接してくださるので、この人だったら長いお付き合いができそうだなと思い、前田さんから買いたいなと思いました。だから私は“前田ヴァイオリン店”って呼んでいます(笑)。

前田さん 最初にご来店いただいたときは警戒されていたので(笑)、一度接客から離れたんですけど、ジーっとヴァイオリンを見られていたのでダメ元でお声掛けしてみたんです。3分くらい雑談して、この人には、まずはヴァイオリンの本質をわかってもらおうと思いました。私の中では普通にお話ししている感覚でしたが、その一つひとつの行動が、お客様側にとってはためになることなんだなって勉強になりました。心からご案内(接客)できると、こんなにも楽器やお店のことを愛してくださるんだって、島田さんと出会って気づかせられました。

 入社した頃からの夢だった、初めての海外でのヴァイオリン買い付けのとき、仕事の成果を出せなかったらどうしようって不安だったんです。離陸前の空港で、島田さんから私へ感謝とお礼を綴ったメールが本社から届いて、こういうお客様のために私はがんばる立場なんだって新たにスイッチが入って。私がシュンとしているときに、必ず現れて背中を押してくださるんです。

いい成功体験が、ヴァイオリンと
出会うことでできました

島田さん 毎日決められた時間に何かをするという習慣を見つけると、他のことにも応用できると思って勉強するようになったんです。国家資格の勉強を始めて、無事に合格しました。それは、ヴァイオリンに触れていなければ気づかなかったことです。1日1時間でも、ずっと続けていれば確実に成長していく。いい成功体験が、ヴァイオリンと出会うことでできました。

前田さん ヴァイオリンは長年一緒にいると友達のような感覚になるので、ツライときも仕事が上手くいかないときも、息抜きでヴァイオリンに触れるだけで元気になれます。将来のパートナーくらいの気持ちで、お客様にも持っていただきたいと思っています。

島田さん 私にとって音楽は、小さいけれど確かな幸せ。そして、島村楽器さんとは長い信頼関係を築けそうです。これからもずっと、お世話になろうと思っています。

こちらの記事は、2019年3月に島村楽器(株)の社内報に掲載した記事を一部編集し、出演者の許諾を得て転載しております。

この記事を書いた人

溝口 元海

エディター、ライター、フォトグラファー。