皆さんの身の回りには、『楽器ができる人』がどれくらいいらっしゃるでしょうか?楽しそうに演奏する姿や、何人かで集まってセッションする姿を見ていますと、なんだかうらやましく思ったりしますよね。また、楽器ができる人は、年代や性別を問わず、魅力的に見えたりもします。
『楽器ができる人』たちがどのようにして演奏ができるようになったかは、先生についたり、友達に教わったり、または独学だったりと人それぞれですが、どのような方であれ共通することとしては、楽器がある程度できるようになるまでには、地道な練習をする必要があったということ。
その点は少し大変なイメージがあるかもしれませんが、練習を重ね、楽器を続けてきたからこそ実感できる「やって良かった!」と思う体験が数多くあり、その体験がまた、楽器を続ける理由につながっているようなんです。
そこで今回は、「楽器をやって良かったこと」について、『楽器ができる人』の代表とも言える楽器店スタッフの皆さんにアンケートを実施しました。
彼ら彼女らのさまざまな音楽体験をしてきた中から、もしかしたら読者の皆さんが想像がつかなかった、あるいはまだ経験をしたことがないような「楽器をやって良かったこと」や「始めたきっかけ」が見つかるかもしれません。
今回のアンケートの概要は以下の通りになります。
対象 | 島村楽器株式会社従業員(アルバイト含む) 20代~30代の楽器経験者 146名 (男性66名、女性80名) |
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調査時期 | 2020年7月 |
調査手法 | インターネット調査(島村楽器調べ) |
1.楽器をやって良かったこと
それでは早速ですが、楽器をやって良かったことのアンケート結果を見てみようと思います。
「好きな曲を演奏できるようになった」、「音楽をさらに深く知ることができた」と演奏する人ならではの回答を抑えて、1位は「仲間ができた」でした。そしてまた4位と5位には、「気分転換ができる」「ストレス発散になる」といった精神的な効果についての意見が寄せられています。
アンケートでは、上位3項目について具体的なエピソードを聞いてみましたので、その内容を見てみましょう。
1位:「仲間ができた」
“結婚して子供を産んでも変わらず仲良し。ずっと連絡を取るのかなと思える仲間に出会えた。” (30代:女性、演奏楽器:サックス)
“バンドで知り合った人と結婚した。”(30代:女性、演奏楽器:クラシックギター)
“大人になって遊ぶ友達ができた。” (20代:女性、演奏楽器:フォークギター)
“全国に音楽仲間ができた。” (30代:男性、演奏楽器:ドラム)
“生まれた国も喋る言葉も違う人達と音楽を通じて友人になれた。” (30代:男性、演奏楽器:エレキギター)
“家で私がギターを弾き、友達が歌うみたいなことが出来るようになり、交友関係も広まり生活に彩りが生まれた。” (30代:男性、演奏楽器:フォークギター)
楽器をやることで、もっとも良かったと感じたことは、意外と演奏面ではなく、「長く付き合える友達ができた」という意見でした。中には「結婚相手が見つかった」という幸せなケースもあるようです。色々な人とセッションを楽しんで、それをきっかけに幅広い地域に仲間ができたり、交友関係が広まったという声も多くありました。
このように楽器ができることは、人間関係におけるコミュニケーションにとても素晴らしい効果をもたらすツールのひとつと言えそうです。
2位:「好きな曲を演奏できるようになった」
“最新の曲を演奏できると楽しい。” (20代:女性、演奏楽器:ウクレレ)
“好きな曲を聴いて譜面におこして演奏している。” (20代:女性、演奏楽器:ピアノ)
“結好きな曲も自由に吹けるので、自分への自信がもてます。” (20代:女性、演奏楽器:フルート)
演奏技術が身につくと、最新の曲や好きな曲を、自分で演奏して楽しめるという意見が出ました。すぐに自分で楽しめるというのは、楽器の未経験者や初心者の方にとってはあこがれの体験ではないでしょうか?
また、曲を演奏できることで自分自身への自信へつながっているようです。
このように自分が演奏できるようになれば、演奏での臨場感が味わうことができ、音楽を聴くだけとは違って、より深く音楽を楽しむことができます。
3位:「音楽をさらに深く知ることができた」
“プロのレコーディング現場に行く機会があり演奏陣もワンテイク、エンジニアも対応が早く衝撃を受けました。” (30代:男性、演奏楽器:エレキギター)
“音楽というものにも、規則性や法則性を見出すことができることを知ったこと。” (30代:男性、演奏楽器:フォークギター)
“街中でのBGMが楽しいです。誰のどの曲でいつの演奏とか、ジャズだとそのへんが分かるようになっていくのが楽しい。” (20代:男性、演奏楽器:サックス)
楽器を演奏していると、演奏技術に対して楽器を経験する前とは違った見方をすることができます。
「プロのレコーディング現場に衝撃を受けた」という意見がありましたが、自分で演奏するからこそ、よりプロの凄さを実感するようになるのでしょう。
また、楽器をやっていると音楽の理論も学んでいく機会もありますので、音楽の成り立ちも深く知ることができます。
このように、自身で楽器を演奏することは、「音楽をさらに深く知る」きっかけになります。
以上、トップ3はこのような内容になりましたが、それ以外の「楽器をやって良かった」という体験談をご紹介します。
父が亡くなってしまい、演奏会の参加をやめようかと思っていましたが、気落ちしていた母が「お父さんも楽しみにしてたよ」と言って背中を押してくれたこと。音楽は人を癒やし、一歩足を踏み出す勇気をくれると実感した。” (30代:女性、演奏楽器:クラリネット)
“体育祭の最後に軽音楽部でアコースティックライブをしたとき、生徒たちに円ができて、みんなで歌った時が楽しく、楽器をやってて良かったと思った。” (20代:女性、演奏楽器:ドラム)
“吹奏楽部時代、コンテストで全員緊張しすぎて予選で大失敗したものの、その後、曲の練習以上にメンタルトレーニングを行ったことで緊張を楽しめるように成長したこと。” (20代:女性、演奏楽器:ピアノ)
“大学のブラス定期演奏会までの臨時練習で、150人規模のブラスを仕切る幹部として動いていた。150人の運営は難しかったが、充実した体験だった。” (20代:女性、演奏楽器:サックス)
演奏活動をすると、それまで体験できなかったことが経験できます。
それらは、上のコメントのような様々な出来事だったり、多くの人とつながるきっかけとなり、人生の中でも大切な宝物になると思われます。演奏活動は、言葉はなくても、その場にいる人と一緒に楽しい時間を共有できる有効な手段であり、自分の人生をも変えるきっかけになりうる可能性も持っているようです。
2.楽器を始めたきっかけ
ところで、これらの楽器をやっている人たちはどのようなことがきっかけで楽器を始めることになったのでしょうか?
これから楽器を始めたいという人には参考になる情報だと考え、楽器を始めたきっかけも聞いてみましたので、その結果をご紹介したいと思います。
楽器を始めたきっかけのアンケート結果は以下の通りになりました。
トップは「音楽が好きだった」となっています。続いて「好きなミュージシャンがいた」「好きな曲・演奏したい曲があった」となりました。
ここでも、具体的に内容を聞いてみましたので、そちらを見てみましょう。
1位:「音楽が好きだった」
“ディズニーアニメをよく見ていて、その真似をして歌っていた”(20代:男性、演奏楽器:ピアノ)
“小学生のころ、体調を崩して学校に行けず、友達にも会えないので寂しかったが、好きな音楽を聴いているときは寂しさを忘れられ元気が出た” (30代:男性、演奏楽器:ドラム)
幼い頃に歌を歌ったり、音楽を聴いたりして楽しんだり、辛いときに大好きな音楽が元気をくれたという経験はどんな人にもあるのではないでしょうか?そういったことがきっかけとなって楽器を始めた人が多いようです。楽器を始めるきっかけで大事なのは技術やスキルよりまず“音楽が好きという想い”だと言えそうです。
2位:「好きなミュージシャンがいた」
“X JAPANの解散コンサートの紅に衝撃を受けた。” (20代:男性、演奏楽器:ドラム)
“好きなバンドの写真にギターを弾いてるシーンが写っていて自分も弾きたいと思った。” (30代:男性、演奏楽器:エレキギター)
“BUMP OF CHICKENに憧れた。今は高田渡になりたい。” (20代:女性、演奏楽器:フォークギター)
ミュージシャンから影響を受けて、楽器を始めたという人が多く見られました。10代や20代の感受性豊かな頃に接した音楽は、その人に大きな影響を与え、「自分も同じように演奏したい!」という思いから、楽器を始めるきっかけになるようです。憧れのアーティストのように自分も演奏できたら(さらには夢の共演!)という想いは、実際に楽器を始めるのとは関係なく、音楽好きなら考えたことがあるのではないでしょうか?
3位:「好きな曲・演奏したい曲があった」
“バックストリートボーイズの曲がかっこ良く、弾いてみたくなった。” (20代:男性、演奏楽器:フォークギター)
“幼稚園の時に「かえるのうた」がどうしても弾きたかった。そのときに、コードによって何故明るいと暗いがあるのか知りたかった。” (20代:女性、演奏楽器:ピアノ)
「好きな曲を自分でも演奏してみたい」という動機は楽器を始める上での大きなきっかけになります。これは2位の「好きなミュージシャンがいた」に似ている部分がありますが、好きな曲を演奏できるというのは楽器を始める上で大きなモチベーションになると思われます。一方、かっこ良い曲というより、「かえるのうた」の例のように曲そのものに興味をもったというケースもありました。
このように楽器を始めたきっかけの特徴としては、親などの周囲の影響というより、自分から積極的に「音楽をやりたい!」という想いが第一にあって、そこから楽器を始める第一歩を踏み出したという人が多いという結果になりました。楽器を始めるには、技術やスキルは関係なく、まずは「音楽が好きかどうか」が重要だと言えるでしょう。
3.まとめ
以上、楽器店スタッフによる「楽器をやって良かったこと」「始めたきっかけ」についてのアンケート結果はいかがだったでしょうか。
楽器をやって良かったことは「仲間ができた」「好きな曲を演奏できるようになった」「音楽をさらに深く知ることができた」といったように、深い絆で結ばれた仲間やパートナーができたり、音楽をさらに深く楽しめることができるという意見が多くありました。このように楽器は人生の彩りをさらに豊かにしてくれるものと言えるのでしょう。
また、楽器を始めたきっかけとしては「音楽が好きだった」「好きなミュージシャンがいた」「好きな曲・演奏したい曲があった」となり、音楽が好きという想いから、自分から始めた人が多いという結果になりました。
今回の結果から、楽器を始めたらどんなことが待っているのか、またもしかしたら自分の人生も変えるかもしれないということが何となくイメージできた人もいるのではないでしょうか?ぜひ、このアンケート結果を参考にしていただき、楽器を始めるきっかけになればと思います!
島村楽器では、「島村楽器調べ」というシリーズで音楽に関する様々なアンケートを実施しています。
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