【失敗しない中古ピアノの選び方】 良質なアップライトピアノがみなとみらいに勢ぞろい!
そろそろピアノが必要になってきたから、ピアノについて先生に聞いてみたりネットで調べてみたけれども、価格やスペック、年式など、情報が多すぎて、何を信じればわからなくなってきた・・・
そんな方にぜひ見ていただきたい内容になっております!
本記事の内容
1.失敗しないピアノ選びのポイントとは (調律師さんに聞いてみよう!)
この記事を書いている人
こんにちは!みなとみらい店でピアノ担当をしている渋谷(しぶや)と申します。
島村楽器でのピアノ担当歴は15年以上になります。
今まで数多くの中古ピアノを仕入れ、お客様にご案内してきた経験から、間違いのない中古ピアノの選び方をお伝えしたいと思っております。
当店では、例え古い年式の中古ピアノでも、数多くの整備項目を調整、修理し、基準を満たしているピアノのみ、お客様のもとへお届けしております。
以下はその一部のご紹介になりますが、これから中古ピアノ選びをされる方は、ご購入を決める前に以下のポイントを確認していただく事をおすすめします。
失敗しないピアノ選びのポイントとは?
そんな皆様のご質問にお答えするのは、
横浜を中心に調律されているピアノ調律師の宮路(みやじ)さんと、
みなとみらい店のピアノ営業、仕入れ担当の渋谷(しぶや)です。
ピアノ調律師さんに聞いてみよう!
とある晴れた平日の昼下がり、みなとみらい店のピアノルームでは、こんなやりとりが…
(渋谷) こんにちは宮路さん
(宮路) こんにちは渋谷さん
(渋谷) 今日は失敗しないピアノの選び方について、私がお客様に代わって色々と聞いてみたいと思います。どうぞ宜しくお願いします!
(渋谷) 早速ですが、ズバリ失敗しないピアノ選びのポイントとは何でしょうか!!!
(宮路) そうですね。良いピアノというのは新品も中古も同じことが言えると思いますが、演奏者の思いを忠実に音に再現できるピアノであるという事ですね。
また、メンテナンス性が高く、長い期間の使用にも耐えうる事が出来るという点も非常に大事な事だと思います。
(渋谷) なるほど。あとはご予算とか、ずっと部屋に置いて置くものですから、見た目が気に入っているかというところも大事ですよね。
(宮路) そうですね。
(渋谷) どういう点に気を付ければそういった良いピアノが選べるでしょうか?
(宮路) はい。やっぱりキチンと修理、整備されたピアノを購入する事がとても大事ですね。
外見は良いけど、なかは修理されてない箇所がたくさんあるピアノだったなんて事があったら大変ですからね。
あとは実際にご自分の目で見て、弾いて見て、その人の感性で判断する事も大事だと思います。
(渋谷) なるほど。ただし、お客様の中には、ピアノが弾けない方もいらっしゃいますし、見た目以外には自分で判断が出来ない部分が多いのがピアノだと思うんですよ。
(宮路) そうですよね。
(渋谷) そういう場合、どのようにチェックしたら良いでしょうか?
(宮路) やっぱりお店に行った時に、信頼できる店員さんや調律師さんにキチンとそのピアノの修理、整備箇所の説明を受ける事が大事ではないでしょうか。
(渋谷) なるほど。では早速ですが、具体的に中古ピアノはどんな所を修理しているんですか?
アクションの話
(宮路) はい。まず、アクションですが、ここはタッチに影響が出る所ですね。
(宮路) このように鍵盤の奥にずらりと入っています。
※ピアノの背の高さによってアクションもサイズが違います。
(左より 高さ131㎝ 121㎝ 116㎝のヤマハアップライトピアノのアクション)
(渋谷) これはアクションの模型ですが、なんだかずいぶんと複雑な形をしていますね。
(宮路) そうですね。このアクション一つ一つの調整がされていないと、タッチの動きが悪くなり、弾きづらいピアノになってしまいます。
(渋谷) なるほど。ここは普段は隠れて見えない所ですが、とても大事なところなんですね。
(宮路) はい。例えばこの部分ですが、
(渋谷) ひもが三角形に引っかかってますね。
(宮路) そうです。このひも(フレンジコード)が切れているとタッチの戻りが悪く弾きづらくなってしまうんですね。ですから、古くなっている場合には、交換する必要がありますね。
(渋谷) なるほど。かなり細かい作業なんでしょうね〜。この写真のものは白くて綺麗ですね。
(宮路) はい。このピアノは全て交換しています。このような細かいパーツの集合体がピアノなんです。
(渋谷) なるほど。他にはどんな所がありますか?
(宮路) この鍵盤はひっくり返すとこんな風になってます。
(渋谷) 穴が開いててフェルトが詰まってますね。
(宮路) そうですね。このフェルトは弾けば弾くほど磨耗していく部分ですから、交換が必要になる場合が多いです。
(渋谷) なるほど。本当に細かい作業ですね。
(宮路)そうなんです。でもしっかりチェックしないといけない部分なんです。鍵盤がグラグラと横揺れしてしまいますからね。
他にもアクションにはフェルトのパーツがたくさん使われていますから、きちんと調整してある事が大事です。
(渋谷) 他にはどうですか?
ハンマーの話
(宮路) あとはハンマーなんですけれども。
(渋谷) はい。弦に直接当たる部分ですね。
(宮路) そうです。ハンマーはピアノの音にとても大きく影響するところなんです。ハンマーの仕上げでだいぶ音が変わりますよ。例えばハンマーに弦の溝が深く入っていると良い音が出ないんです。
(宮路) ですから、ハンマー用の紙やすりを使って1鍵づつ音を確かめながら削って調整します。
(渋谷) 削ってしまって大丈夫なんですか?
(宮路) はい。丁寧に削っていくので大丈夫です。ここは技術が求められる部分ですね。溝を完全に無くしてしまうのもダメなんです。丁度いいポイントがあるんです。
(渋谷) へえ〜。職人技なんですね。
(宮路) そうですね。ハンマーは私達調律師の腕の見せどころです。ただし何回も削られているハンマーだと、ハンマーの肉厚がなくなっていますので、ハンマーの寿命が短いという事が言えると思います。
(渋谷) そういうピアノを選んでしまうと、弾ける年数が短いピアノになってしまいますね。
(宮路) はい。そういったピアノを選ばない事が大事ですね。特に中古ピアノの場合、製造年よりも、「今まで弾かれた総時間」の方が大事かもしれませんね。ただし、ハンマーというのは交換できますので、そうやって直せば使えるのがアコースティックピアノの良い所です。
(渋谷) なるほど。他にはありますか?
チューニングピンの話
(宮路) 弦が張ってあるこちらのチューニングピンですが、
(渋谷) この写真のピンはピカピカしていますね。
(宮路) そうですね。このチューニングピンがピアノの弦を支えているわけなんですが、張力が全部で約20トンと言われています。この力を支える為に、鉄の鋳物と太い柱が必要になるんですね。
(渋谷) なるほど。それでピアノは重たいわけですね。
(宮路) そうです。アップライトで200〜260kg位ありますからね。
(渋谷) うわっ。そんなの置いたらうちの床が抜けないか心配です!
(宮路) そこまで重くないから大丈夫ですよ。大人が5人いたら床が抜ける家はほとんどありませんからね。ただし心配なら、購入を決める前に、管理会社に確認してみると安心できると思います。
(渋谷) たしかにそうですね。
※1981年(昭和56年)建築法改正により、一般的な住宅の設計では、最低限1平米→180kgの耐荷重が義務付けられています。
調律の話
(宮路) 話はそれましたが、それだけの張力を支えているわけですから、定期的な調律をしないでいると音程がどんどん下がっていってしまい、正しい音程でピアノを演奏する事が出来なくなるわけです。
例えば5年調律をしていないピアノがあるとするとですね、すでにかなり音が基準より下がってしまっている訳です。
それを元に戻そうとピンを回しても、ピンというのは、ピンブッシュという木に打ち込んでありますから、ねじれが生じてしまいます。
そのねじれによって戻ろうとする力が生じるので、なかなか安定せず苦労するんですよ。
ですからそうならない為にも、少なくとも一年に一回は調律をお勧めしています。
(渋谷) なるほど。調律にはそういう理由があるのですね。
(宮路) その他にもお伺いした時には、ピアノの中のお掃除や、チェックもしますので、年に一度の健康診断だと思っていただければと思います。
(渋谷) ピアノの健康診断ですね。そうやって定期的にキチンと調律されたピアノというのは何年くらい使えるもんなんですか?
(宮路) 弾く頻度や環境にもよりますが、ふつうは中古なら購入されてから20〜30年位、新品なら40年位で、修理やパーツ交換が必要になってくるといったところでしょうか。
(渋谷) かなり長く使えますね。
(宮路) そうですね。でも例えばお嬢様がピアノが大好きでほぼ毎日5時間も練習されるとしますよね。それを5年も続けていたら、さすがに不具合が出てくると思います。
(渋谷) そんなに毎日長時間練習していたら、そうなるでしょうね。
(宮路) ただし、その頃には相当上達しているはずです!(笑)
(渋谷) そうですよね。将来はピアニストになれるかもしれないですね!
(宮路) はい。(笑)
(宮路) 高い張力のピアノ弦を支えてくれているのが「チューニングピン」ですが、ゆるくなってしまっているピンの場合は、弦を支え切れずに音程がすぐに下がっていってしまいます。
そういうピアノはピンの打ち直し、つまり修理が必要になります。
ピンの保持力(トルク)が安定しているものを選ぶ事も大事なポイントなんです。
(渋谷) なるほど。でも、そういうチューニングピンかどうかの判断ができるのは、調律師さんだけですよねえ。
(宮路) そうかもしれませんね。ですからしっかりとした技術者のいるお店で購入することは大事な事だと思いますね。
(渋谷) ふむふむ なるほど。それから、ピアノの弦についてはどうですか?
ピアノの弦の話
(宮路) はい。ピアノの弦の健康状態も大事なポイントですね。上から下までバランス良く響いてくれるピアノが良いと思います。
響きが悪い低音弦はボンボンっとかジンジンって音がします。そういうピアノは音を聞いたらすぐにわかりますね。
(渋谷) さすが調律師さんですね。やっぱり、自分でも音を聞いて確かめる事は大事なことですよね。
(宮路) そうですね。やっぱり確認するときは、静かな環境でピアノを指弾しないと、音の違いがわからなくなっちゃいますよね。
やっぱり良い状態のピアノは良い音が鳴ってくれますよ。
(渋谷) そういえば、ピアノの弦って切れる事があるんですか?
(宮路) はい。それほど多くはないですが、切れる時は新品でも中古でも切れます。
ハンマーが弦に当たる時の揺れだとか角度だとか弦の張力だとか、色んな条件が揃ってしまった場合には弦がバチンと切れます。でもそれは全体から言ったら珍しいケースですけどね。
(渋谷) そうですか。そういえばうちの実家にも古いピアノがありますが、一度も弦が切れた事が無いですね。
(宮路) はい。ただし、中高音域の弦のサビが徐々に増えてくると、次第に切れやすくなっていく傾向がありますね。万が一、切れてしまった場合には、張り直しが出来ます。1本〜全弦張り替えまで色々なケースがありますから、お気軽に相談して欲しいですね。
(渋谷) 張り直せるんですね。
(宮路) はい
(渋谷) その他ピアノといっしょに生活していく上で、どんな事に気をつけていけば良いのでしょうか?
ピアノの管理の話
(宮路) そうですね。ピアノというのはたくさんの木とフェルト類のパーツ、金属で出来ています。
そして、ピアノ自体も振動しますので、多少変化が起こる事があるんですね。
例えば、譜面台の蝶番のネジか少しずつ緩んできて、「特定の鍵盤を弾くときだけジンジンと雑音が聞こえる」などです。
そんな時は蝶番のネジを締めなおせばおさまる場合がほとんどですが、他にも様々なケースが起こる事があります。
そんな場合でもお気軽にご連絡いただければ、お役に立てると思います。
(渋谷) なるほど。ピアノもアコースティック楽器ですから、ギターやバイオリンと同じように調整が時々必要になるという訳ですね。
(宮路) そうですね。例えばピアノに普段から直射日光が当たってしまったり、お部屋の温度、湿度の変化が激しかったりすると、木が動いて雑音の原因になってしまいますから、設置場所や、空調管理については、一度お店で相談して欲しいですね。
(渋谷) なるほど。設置環境によっては、色々なケースが考えられるという事ですね。
(宮路) はい。ただし、あまり神経質にならないで欲しいですね。
楽しんでピアノを弾いていただくのが一番ですし、普通の生活空間にいっしょに置いてあれば、基本的には大丈夫です。
弾いていくうちにどんどん愛着が湧いてくるのがピアノの良いところです。
それに何かあった時の為に私たち技術者がいるわけですから。
(渋谷) はい。これからもよろしくお願いします!
(宮路) これ以外にも、ピアノの話ならいくらでもあるのですかあまりマニアックになり過ぎてしまっても良くありませんので、今日はこれくらいにしておきます。(笑)
(渋谷) はい、分かりました。(笑)
今日はお忙しいところありがとうございました!
(宮路) ありがとうございました。
少しでも皆さまのピアノ選びのお役に立てれば幸いです!
また、お持ちのピアノでお困りの事がありましたら、お気軽に島村楽器みなとみらい店までお問い合わせください。
皆さまのご来店心よりお待ちしております!
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